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特定秘密保護法の致命的は、欠陥指定もチェックも首相だ? 

アベシ
s-20140316東京新聞

 
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■2014年3月15日 東京新聞:こちら特報部
指定もチェックも首相? 秘密法の致命的欠陥
http://magicmemo.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/497-f407.html

希代の悪法たる特定秘密保護法は今国会の論戦でも、欠陥が次々と明らかになっている。安倍政権が昨年の臨時国会最終盤で泥縄式に持ち出した「第三者機関」をめぐっては、首相が指揮監督する内閣官房と内閣府については首相が秘密指定し、その内閣官房と内閣府に設置する機関が監視する。要するに「首相の自己査定」にすぎないわけだ。さらに内閣府の機関は、法的根拠もあやしくなっている。(上田千秋、林啓太)

◆「身内」で固め トップ同じ

「(安倍晋三首相が)自分で秘密を決めて、それが適切かどうか自分でチェックすることになる」
2月21日の衆院内閣委員会。赤嶺政賢議員(共産)は、特定秘密の指定・解除の妥当性などをチェックする「第三者機関」の構造的な矛盾を端的に言い表した。

「第三者機関」は4つもある。次官級で構成する内閣官房の「保全監視委員会」、内閣府に置かれる「独立公文書管理監」(審議官級)と「情報保全監察室」(省庁出身者20人規模)、唯一政府外の有識者でつくる「情報保全諮問会議」だ。年内の法施行後に保全監視委へと移行する準備委が昨年末に発足。諮問会議は1月に初会合を開いた。

赤嶺氏が問題視したのは、内閣官房と内閣府の3組織である。

「身内」の官僚で固めた組織だが、秘密を指定する長が所属する各省庁とは別の組織だから第三者機関─。これが政府の論理だが、実は破綻している。内閣官房と内閣府については組織上、秘密の指定も妥当性のチェックも、トップの安倍首相が担うことになるからだ。しかも、特定秘密の大半は、内閣官房と内閣府のものになるとみられている。

内閣官房が運用する情報収集衛星の画像は、政府が法施行後、特定秘密に移行させるとしている「特別管理秘密(特管秘)」に指定されているものが多い。首相は1月31日の衆院予算委で、約42万の特管秘のうち「衛星情報が9割」と答弁している。秘密法とセットで関連法を設立させた国家安全保障会議(NSC)も内閣官房に置かれている。NSCに関する情報の多くも秘密指定される見通しだ。

秘密法に詳しい田中隆弁護士は「第三者であることを強調しても、国民から見れば同じ政府。完全なまやかしだ」と看破する。

首相は、集団的自衛権の行使を認めない現行の憲法解釈について「最高責任者は私だ」と、自身の判断だけで変えられるかのように発言した。秘密法でも、首相の「独裁」体制になりかねない。田中氏は「何でも自分を中心にやりたいという意思、意欲が強い人間なんだろう」と皮肉る。

「複数の省庁が関与する分野の情報を一元管理するのは首相にせざるを得ない。当事者なのに『第三者』などというのは無責任ではないか」

◆名ばかり 第三者機関

そもそも「第三者機関」が、どんな組織なのか、権限がどうなるのかが整理されていない。
官僚主導で秘密の範囲が拡大するとの懸念や批判をかわそうと、いずれも閉店まぎわのバーゲンセールのごとく設置が決まった。保全監視委と公文書管理監、諮問会議の3組織は、参院採決直前の昨年12月4日、安倍首相が自ら打ち出した。日本維新の会が反発すると、菅義偉官房長官が翌日、保全監察室も加えた。

中でも、今国会の論戦で焦点となっているのが、法律本文ではなく、付則に基づく公文書管理監と保全監察室だ。安倍首相は1月28日の衆院本会議で「内閣府に独立性の高い第三者機関である情報保全監察室を設置し、行政機関による個別の秘密指定等をチェックする」と胸を張った。それだけ重視しているにもかかわらず、法的な位置づけさえも不明瞭なのだ。

「公文書管理監と保全監察室は、正真正銘の独立のチェック機関として、ちゃんと仕事をしていけるのか」。後藤祐一衆院議員(民主)はいぶかる。後藤氏は2月14日の衆院予算委で疑問を呈したが、菅氏は「具体的にいかなる事務を掌握させるべきかという点も含め現在、検討が行われている」と述べるにとどまった。

後藤氏は「各省庁に報告や指定の解除、不適切な扱いの改善を求める権限を法律に書き込まないと、特定秘密の指定が適切かどうかチェックできない」と指摘する。

独立性を確保する上で後藤氏が必要だとするのは、内閣府設置法の改正だ。「公正取引委員会(公取委)などと並ぶ独立性の高い機関として、内閣府設置法に明確に位置付けることが不可欠だ。法的に独立していなければ、特定秘密についての報告を求めても『権限がない』と反論されたらぐうの音も出ない」と訴える。

保全監察室の設置を引き出した維新の桜内文城衆院議員も将来的には、保全監察室を公取委などと並ぶ独立行政委員会につくりかえるべきだと主張する。「監察室が審議官級の独立公文書管理監の下につくということはあってはならない。官僚は、監察室の権限を小さくしようとしている」

その公文書管理監の権限も極めて限定的になりそうだ。
秘密法を担当する森雅子内閣府特命相は2月21日の衆院内閣委で、公文書管理監が特定秘密を見る権限の法的な根拠について「一般論として言えば、(秘密法の)第6条と第10条に基づく」と答弁した。

第6条は、特定秘密を保有する行政機関の長が、他の行政機関が秘密を利用する必要があると認めた場合に「提供することができる」と規定。第10条も、提供の条件として行政機関の長が「我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき」と定める。

森氏に質問した赤嶺氏は「行政の長の判断によって低許しない場合もあり得るということだ。法律そのものを根本的に見直すべきだ」と批判する。公文書管理監や保全監察室以外の機関も期待できない。首相の足元の保全監視委は論外だが、諮問会議も特定秘密そのものを見る権限がない。

日本弁護士連合会の秘密保護法対策副本部長の井上正信弁護士は「第三者機関は、この法律の致命的な問題点の一つだ」と強調する。

「政府は第三者機関の必要性をまったく認識していなかった。野党などの指摘を受けて泥縄的に考えたから、こんなおかしな状況になっている。官僚がいくら集まっても秘密をチェックするどころか、恣意(しい)的に運用する方向にしか進まない。政府は、今の法律では限界があることに気が付くべきだろう」

[デスクメモ]
秘密指定の妥当性をチェックする「第三者機関」が「第三者機関」たり得ても、秘密法には反対だ。いや、まず絶対に実現しない。第三者が秘密そのものを見ることは官僚の想定外だ。それでも、よりマシな監視機関は必要である。年内の施行は間違いない。相手の土俵にのった議論をしなければならない。(圭)


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